清水のブログ

「いち」大学生の日々

『死にがいを求めて生きているの』-6 安藤与志樹(前編)-

第6編です。この小説は全10編から成るのでちょうど半分読み終えたことになりそうですが、ページ数的にはここで4割くらいです。この先が盛り上がっていくのでしょう。

読者としては嬉しいものの、感想を書くのはちょっとだるいですね。書くけど。

www.shimizu-blog.com

 

あらすじ

安藤与志樹は、北海道大学の2年生で、RAVERSの代表者です。

RAVERSというのは、時事問題への意見などを音楽に合わせて主張する「レイブ」をする団体の名前です。

彼は、若者を集め、議論するテレビ番組「次世代の最北端」に出演することになります。

 

収録後、彼はRAVERSのメンバーと話します。メンバーの家に集まって、次の活動の話や雑談をするのが彼の日常です。

雑談の中で「海山伝説」の話が出ます。

「海山伝説」とは、かつて人類は「海族」と「山族」に分かれていた。という説で、都市伝説的な人気があったものです。

最近になって、人気漫画『帝国のルール』は「海山伝説」を描いたものではないか。人類を洗脳するために描かれた漫画ではないか。という陰謀論も出ているそうです。

 

与志樹が収録した現場には「堀北雄介」もいました。

彼は北大の伝統である「ジンパ(ジンギスカンパーティ)の復活」を主張していました。

与志樹と雄介は現場で仲良くなり、与志樹の家で一緒にオンエアを見ます。

オンエアを見ていた二人は、いつしか「海山伝説」の話で盛り上がります。

 

同じ番組に出た人たちで打ち上げをすることになります。

雄介は、幼馴染がバイトしている店に決め、雄介・幼馴染・与志樹の3人で会うことになります。

幼馴染とは、南水智也でした。

与志樹は、雄介と全く雰囲気の異なる彼が、なぜずっと一緒にいるのか不思議に感じます。あるいは腐れ縁とはそういうものかもしれないけど。

3人は食堂で会います。

食堂では、恵迪寮の人たちが署名活動を行っていました。

恵迪寮とは北大の自治寮ですが、最近になって「職員管理にしては」という意見が出ていて、それに対する反対の署名活動でした。

与志樹と雄介がその活動に注目しているのに対し、智也は特に興味のない様子です。

その態度に与志樹は「近くでこんな争いが起こっているのに、気にならないんですか?」と、やや威圧的に聞きます。

対して智也は「大学と恵迪寮が対立しているとして、どちらにもいろんな考えの人がいる。ひとつの塊に見えてもグラデーションがある。そういうことを考える。」と答えます。

その時、智也の元に一人の女性がやってきます。智也は「亜矢奈」と手を振ると、彼女とともに去って行きました。

感想

第6編はページ数も増え、大学生になり人物の動きも増え、いよいよ始まる、と読んでいてワクワクしました。

あと、個人的なことですが僕は北大の学生なので、知っている名前が多く出てきて嬉しかったです。恵迪寮も実在しますし、RAVERSのメンバーの家の位置なんかも想像できました。

著者の朝井リョウさんは北大出身ではないのに、まるで北大の学生の目線で描けているのは、さすが作家と感じます。

さて、本題の感想です。

RAVERSは現実の団体「SEALDS」を連想させました。

僕はどうしても一歩引いてこういった団体を見てしまうので、(フィクションとはいえ)内部の目線で描かれたものを読むのは新鮮で楽しかったです。

「海山伝説」と『帝国のルール』は、小説内でフィクションと現実の繋がりとして描かれていますが、この小説そのものも現実との関連を感じられます。

与志樹が割と強く「身近なことなのに関心がないのか?」と説いていることもあって、それもこの小説のテーマの一つのように思えます。(僕にとって「北大」は身近そのものなので、なおさら。)

 「現実と小説(フィクション)の関連」では「サラバ!」も思い出します。あるいは、あらゆるフィクションは現実と繋がっているのかもしれません。

www.shimizu-blog.com

今回の話でも、智也の「白黒つけるのってどうなの。」という信条が表れていました。

彼は、おとなしいように見えて、しっかりと自身の哲学を据えている人物に見えます。

そんな彼が、ずっと一緒にいる雄介をどう感じているか気になってしまいます。

与志樹は、智也と対照的にあまり自分の意見がないように思えます。

RAVERSで話すとき、「次の議題でやるべきは~」 と言って他のメンバーに「やりたい、じゃなくて?」と指摘されるシーンがあります。

また、与志樹は、時事問題への興味というより「主張して注目を得られる快感」に重きを置いて活動しているような描写があります。

彼のことももっと知りたい。後編で彼のことが語られるのが楽しみです。

 

おしまい