清水のブログ

「いち」大学生の日々

『すべて真夜中の恋人たち』川上未映子

川上未映子さんの『すべて真夜中の恋人たち』を読みました。

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画質:あらめ

友達に「川上未映子とか好きなんじゃない?」と言われ、作者の名前で探してみて初めに見つけた本です。

川上未映子さんの小説は初めてでしたが、ちゃんとハマりました。教えてくれた友達の眼は合っていたようです。(前から思ってたけど、君にはそういう才能があると思う)

 

ざっくりあらすじ

主人公、入江冬子はフリーランスで校閲の仕事をしています。

彼女は、人と話すことが苦手で、積極的に何かと関わりたがりません。(「自分で選んだことがない」と彼女自身が表現しています。)

ある日、彼女は三束(みつつか)さんという男性に出会い、それからも何度か話すようになります。

その中で彼女の気持ちや行動に変化が生じていきます。

 

感想

帯や背表紙には「芥川賞作家が描く究極の恋愛」とあります。いわゆる「恋愛小説」ですね。(ずいぶん乱雑な分類ですが)

ちなみに、川上未映子さんは『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞されています。それも読みたい。

 

風景や心情を表す言葉の表現が素敵でした。

三束さんは物理学に詳しく、入江さんとの会話の中で「光」についての話題が多く出ます。

それゆえか、地の文も「光」に関する描写が多く、きらきら、さらさら、そんな印象です。

 

この小説は地の文が入江冬子の一人称視点「わたし」で書かれています。

入江さんは、人と話す前にはお酒を飲み、感覚を麻痺させなければいけないほど会話が苦手です。

ですが、地の文、つまり彼女が見る世界の表現は瑞々しさやユーモアに満ちています。

三束さんとの会話では、

「光のことで、わたし、それが物理とどれくらい関係あるのか全然わからないんですけど、その、光をみるのがすきで」

終始こんな感じでうまく言葉を繋げられません。

「頭に口が追いついていない」感じで、きっと頭の中では素敵な言葉の表現があるけど、うまく伝えられないのだろう、と思いました。そのせいで人には「何も考えてない、ぼーっとしてる」と思われ、本人もそう感じているのかもしれません。

三束さんもそんなに会話上手ではなく、二人の会話にはいつも沈黙があります。

だけど会話がつまらないわけではなく、そんな関係を素敵に思いました。

その他あれこれ

あらすじ・感想に書き切れませんでしたが、この物語にはもう少し登場人物がいて、展開があります。

物語の主軸は「入江さんと三束さんの出会い(とそれから)」ですが、その他、入江さんの同業者とのやりとり、高校生の頃の回想、久しぶりに友達に会う、などがあります。

それらも、読んでいていろいろ思うところあって面白いです。

そうやってあれこれ思うのが小説の醍醐味なのかなーーー

 

物語とは関係ないですが、小説を読んで新しい言葉を知るってのありますね。

「肯く」を「うなずく」と読むとか、「瀟洒」とか「さもしい」の意味とか。

あと、小説の中に出てくる小説を読んでみたり音楽を聴いてみたりしがちです。音楽は勝手にその小説のテーマソングにしてしまったり。

 

個人的には結構心に来るも小説でした。興味を持った方はぜひ。

すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)

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