清水のブログ

「いち」大学生の日々

心理学と『インサイド・ヘッド』

「基本的感情」なるもの

先日、大学1年生の頃に図書館で借りたことのある心理学の本を、改めて自分で買いました。

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図書館で借りたときは10代だったワタシ

さまざまな心理学の考え方や、心理学者が分かりやすく紹介されている本です。

その中に、ポール・エクマンさんが特定した「基本的感情」なるものが登場します。

それは「怒り・嫌悪・恐れ・悲しみ・喜び・驚き」の6つです。(エクマンさんはアメリカ在住の方なので、実際には「Anger・Disgust・Fear・Sadness・Happiness・Surprise」の6つ。言語によりニュアンスの差はあるのかもしれません。)

僕はこれに興味を持ち、少しネットで調べてみると、ピクサーが作った『インサイド・ヘッド』という映画があるそうじゃないですか!(名前は知ってたけど)

(これも勉強だよな・・・)と思い、さっそくAmazon Primeでレンタル、観てみたら、とっても面白かったので、紹介します。

『インサイド・ヘッド』

原題は『Inside Out』。「裏返し」という意味だそうです。

ちなみに「Inside Head」は文法的には「Inside of Head」の方が適切だそうです。

邦題あるあるですね。原題が、短い単語に様々な意味を持っているので、邦題もそれに従いたいところですが、多くの人に観てもらうには分かりやすいタイトルが必要なこともあるので、一長一短です。

 (ポスターも同様)

www.shimizu-blog.com

 さて、あらすじ&感想あれこれを書いていきます。

あらすじ

物語は、ライリーという11歳の女の子の生きる世界と、ライリーの脳内(心の中)の2つで展開されます。

ライリーの脳には「ヨロコビ・カナシミ・イカリ・ムカムカ・ビビリ」の5人(基本的感情の擬人化なので、「人」と書くことにします)がいます。

ちなみに英語版は「Joy・Sadness・Anger・Disgust・Fear」です。日本語版ではオノマトペが使われていますね。これもニュアンスの差でしょうか。

上で、「基本的感情は6つ」と書きましたが、5つと考える場合もあるようです。

こちらの、ポール・エクマンさんも制作に関わったサイトでは5つと紹介されています。(このサイトはオシャレかつ勉強になります)

atlasofemotions.org

基本的感情5人は、脳の「司令塔」で、ライリーの見る景色を通じ、それぞれが役割を持って感情のコントロールをしています。

嬉しいことがあったら「ヨロコビ」がボタンを押し、ライリーが喜ぶ、みたいな感じです。(順序が逆のパターンもあります。心身の相互作用でしょうか。)

ある日、アクシデントで「ヨロコビ」と「カナシミ」が司令塔から落ちてしまいます。

このままだと2つの感情を感じられないので、2人は脳内(心の中)を巡って司令塔へ戻ろうとします・・・。

感想あれこれ

・表現が面白い

「感情の擬人化」なんて難しいことを、映画という一つの作品にしてしまうピクサーはやっぱりすごいなぁ・・・って感心します。(ピクサー映画観るたびに思ってる)

ヨロコビのいない司令塔で、イカリ・ムカムカ・ビビリは喜びを表わそうと奮闘します。

ムカムカが笑顔を作ろうとボタンを押すと、なんだか皮肉めいた笑顔になってしまいます。ちゃんとヨロコビが担当しないとうまくいかないんですね。

「同じ笑顔でも違う感情を表すことがある」ってのをこんな風に表現するんだ・・・面白いなぁ~って感じました。

・内容難しくないか ?

ストーリーは王道で、笑えるところもあるのですが、描くものが「心の中」なので、主な客層の子供たちには難しそうに思えました。

具体的には、

「抽象概念エリア」「現実歪曲フィルター」「潜在意識=厄介者を送る場所」「帰納的推理」「言語処理」「批判的思考」「パーソナリティ」

などの言葉が出てきます。

「ヨロコビ」「カナシミ」「ボンビン(ライリーが空想したキャラクター)」が「抽象概念エリア」に迷い込むシーンでは、擬人的な形→3Dポリゴン→2Dの色と図形、と変形されてしまいます。2Dの色と図形になると、2次元に閉じ込められるので、奥にある扉をくぐれなかったりします。

キャラクターがどんどん抽象的になるわけですが、ちょっと難しくね?って思いました。ビジュアルとして面白いから子供も楽しめるのかな。あと、心理学の勉強してる人はあれこれ関連付けられて楽しいんだろうな・・・。

 

ちなみに、興行収入はピクサー映画23作品中15位と低めです。

エンタメ的にはあまり上位ではないかもしれませんが、これをピクサーが作ってくれたことは嬉しいです。(どの立場ですか。)

・人それぞれの基本的感情

ほとんどはライリーの脳内ですが、時々ライリーの住む世界の人たちの「基本的感情の擬人化」が登場します。(両親や、周りの子供たち、犬や猫まで)

5つに分担されてはいるものの、個人のパーソナリティによって「基本的感情の擬人化」も性格付けがなされていました。

怒りっぽい人は「基本的感情の擬人化(ただし皆怒りっぽい)」、だるそうな人は「基本的感情の擬人化(ただし皆だるそう)」みたいな。

感情が人を動かすこともあれば、行動が感情を動かすこともあって、それらが積み重なった結果パーソナリティが形成されて、「基本的感情の擬人化」もパーソナリティを獲得したのかなーなんて考えてました。これも、勉強してたらもっと考察の余地があるのでしょう。

 

いつもと様子が違うライリーを見て両親が思いを巡らすシーンがあります。

両親は同じライリーを見てるのに、それぞれの脳内(心の中)では違うことが起こります。

現実では脳内は擬人化できないから分かりにくいけど、やっぱり皆それぞれ違う人間なんだよなぁ、と思いました。

・カナシミの必要性

ヨロコビと一緒に司令塔から落ちてしまうのはカナシミです。

この作品では「カナシミの必要性」が物語の主軸の一つになっています。

 

カナシミがボンビンを元気づけるシーンがあります。

ライリーが成長するにつれ、空想することが減り、ボンビンと一緒に遊ぶことも減ります。

ボンビンがそう話すのを聞き、カナシミは「そう。どんどん忘れていってしまうよね・・・。」と同調します。

それを見てヨロコビは、「励まさなきゃ!」と言いますが、ボンビンはカナシミに話を聞いてもらうことで前を向きます。

励まされるより同調してほしい時ってあると思うのです。

余談ですが、アリストテレスは「悲しいときは悲しい音楽を聴くと心が癒やされる」と言い、ピタゴラスは「悲しいときは明るい音楽を聴いて打ち消すのが良い」と言ったそうです。どっちも一理ありです。あ、これも心理学でしょうか。

 

僕はこのシーンがとても好きです。

カナシミはネガティブで不器用なのですが、彼女(彼)がボンビンを元気づけたということに嬉しくなりました。(僕はカナシミに近い性格なので、ひたすらポジティブなヨロコビよりカナシミに共感します。)

おわりに

気づけばずいぶん長く書いていましたが、それくらい良かったってことです。

心理学の勉強をしたいのですが、とっかかりに困っているので(映画がある程度とっかかりにはなったものの)もしオススメの本(教科書でも)やサイトなどあれば教えてくださると幸いです。

インサイド・ヘッド (字幕版)

インサイド・ヘッド (字幕版)

  • 発売日: 2015/09/25
  • メディア: Prime Video